自己紹介


はじめまして。近藤紀文と申します。
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このブログでは演奏会(ライブやコンサート)参加の履歴や
日常生活で思ったことについて、様々な視点で書いていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。


2012年3月24日土曜日

もって他山の石とせよ

 これは私が懇意にさせていただいている方への記事を
編集したものです。

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高松市内のコンサートホールで
毎年クリスマスシーズンに行われる東京音大関係者のコンサートおよび
盆のシーズンに行われる東京芸大関係者のコンサートは
高松の風物詩として定着したように思われる。

このコンサートを聴いての率直な感想を言えば、
今の東京音大はまさに昇竜の勢いを感じさせる。

逆に東京芸大は、『芸大病』とでも言うべきただれが起きている。


さて『東大病』という病をご存じであろうか。

初期の科学関係ノーベル賞受賞者は圧倒的に京大関係者が多い。

東大関係者は各界で指導的役割に就く宿命にあるが、
そのために考えが保守的になり、自由な発想ができない。

そのような縛りのない次男坊・京大の自由な研究体制が、
世間の常識を覆す発明・発見につながるというからくりだ。


そういう目で見ても、この夏冬の高松音楽デスマッチは率直に言って、
現状では東京音大に旗を揚げる。


東京芸大、奮起せよ。


それと、もう一つの楽しみは、
東京音大の学長がプログラムに寄せる祝辞だ。

昨年はピアニストの野島稔だったが、
その前は開いてびっくり海野義雄!!!

当日、幕間に知り合いと話をしていて、ついつい

(いやあ、この業界はええですなあ。汚職で逮捕されて首になっても、
腕一本で食うていけるんやから。ホンマに“運の良し男”やのう)

嘆息してしまった。

芸大汚職で逮捕され、
首になってほとぼりが冷めていない時期に
海野のリサイタルがあったのに行った。

間違いなく、彼は日本一のヴァイオリニストであった。

それは自他ともに認めるところであろう。
しかし、その慢心が脇の甘さを招いた。

公立学校の音楽教師諸氏。もって他山の石とせよ。



2012年3月11日日曜日

ここまでやれるか

これは、私が懇意にさせていただいている方への記事を
編集したものです。

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2012年03月10日(土)  開演:14:00

びわ湖ホール プロデュースオペラ
ワーグナー作曲 歌劇『タンホイザー』(全3幕)
ドイツ語上演・日本語字幕付

指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ

出演:      (10日)     (11日)
ヘルマン    妻屋秀和   大澤 建
エリーザベト  安藤赴美子  佐々木典子   
タンホイザー  福井 敬    水口 聡   
ヴォルフラム  黒田 博    大島幾雄   
ヴァルター    松浦 健    岡田尚之
ハインリヒ    二塚直紀   大野光彦
ビテロルフ    萩原 潤    加賀清孝
ラインマル    山下浩司   鹿野由之
ヴェーヌス    小山由美   並河寿美 
牧童       森 季子    福永修子
4人の小姓(全日出演) 岩川亮子、栗原未和、田中千佳子、本田華奈子

合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
管弦楽:京都市交響楽団
協力:サン・ディエゴ歌劇場

料金S席 15,000円



わたしは後ろ髪を引かれる思いで上記びわ湖ホールに赴いたのだが、
ここで日本人としての芸術観を変えるハプニングが起きた。

題して、あなたならどうする?

大津駅からびわ湖ホールに向かう臨時ピストンバスの中で、
アレクサンダー・オルブリッヒ駐神戸ドイツ総領事に会った。

この方、香川のドイツ関係筋の招きで何度か高松に来たこともあり、
お声掛けすると懐かしがってくれた。

(というより、バスの中には他に外人もいたが、
ドイツ総領事と知ってお声掛けをしてくれる人はそうはいないだろうから、
あちらさんもプライドをくすぐられたのかも)

で、話は当然のごとくワーグナーで盛り上がり、
領事から突然の質問があった。

領事「ところで、今日のはドレスデン・バージョンですか?
パリ・バージョンですか?それともウィーン・バージョン?」

私は『タンホイザー』には、初版でオーソドックスな『ドレスデン版』と、
バレエ優先の発想で改訂された『パリ版』が有ることは知っていたのだが、
ついぞこの日まで『ウィーン版』があることは知らなかった。

因みに、当日会場配布の冊子には、
パリ版のさらに亜流としてウィーン版があることをズバリ書いていた。

(負けた・・・。)




しかし、そこは日本ワグネリアーナーの名誉にかけて、
以下のように返答した。

私「パリ版はイレギュラーで、こちらで上演するときは、
チラシに必ず(パリ版上演)と書きます。
書いていないということは、ドレスデン版でしょう。

それと、日本人は序曲からノンストップで
バッカナールの舞踏の場に入るパリ版は好みません』


(好みません=ディスライクと表現。要するに、序曲の最後で盛り上り、
一旦拍手を入れた後で幕が開くドレスデン版が、
けじめがあって日本人好み。)






私は帰路の車中で考えた。

この領事の質問、次のようなアナロジーが成り立つのではないか。



この記事を読んでいるあなたは
ドイツ駐在の日本人商社マンと考えてください。

今日は日本のカブキの引っ越し公演があり、愛国心に燃えて劇場に。

途中、車中で歌舞伎通のドイツ人に会い、会話が盛り上がる。

あなたは、「ところで、今日の『勧進帳』の弁慶は音羽屋がやるんでしたかね?
成駒屋がやるんでしたかね。」クラスの質問を、
その歌舞伎通のドイツ人にぶつけられるか。

わたしは否である。悲しい程自国の文化を知らない。

もっとも、ワーグナークラスになると、最早ドイツのワーグナーではない。
世界のワーグナーだ。


ドイツ人よりもワーグナーに詳しい外国人は多々いるだろうけれども。


 







2012年3月7日水曜日

ここまでやらないかん

これは、私が懇意にさせていただいている方への記事を
編集したものです。

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クラシック音楽を真に理解しようと思ったら、
ギリシャ、ローマ、キリスト教を理解してなかったら話にならない。

『バッハの教会カンタータ』をホンマに理解しようと思ったら、
各カンタータの“用途日”を見ないといけない。

例えば

カンタータ第146番『われら多くの患難を経て』
→復活節後第3日曜日用

カンタータ第144番『おのがものを取りて行け』
→復活節前第9日曜日用

カンタータ第113番『主イエス・キリスト、汝こよなき宝』
→三位一体節後第11日曜日用

カンタータ第67番『死人の中より甦りしイエス・キリストを覚えよ』
→復活節後第1日曜日用

カンタータ第36番『喜び勇みて羽ばたき昇れ』
→待降節第1日曜日用

このへんまでは、バッハが原典の楽譜に書いているので
対訳が付きのCDレベルであれば載っていると思う。

問題は、『復活節』や『三位一体節』、『待降節』が、いつであるかである。

ここまでキリスト教の典礼を理解して、
(初めてバッハの教会カンタータは理解できる)と私は思う。


調べる方法としては教会に行き、教会歴を見るのが手っ取り早い。

 例えば、『復活節(イースター)』は
 『春分の日』後の最初の『満月』直後の『日曜日』
 であるから、毎年日が変わる。

その後の第8日曜日が『三位一体節』。

『待降節』は
クリスマス12月25日の前の最初の日曜日が『待降節第4日曜日』で、
以下、日曜日ごとに第3、第2、第1と遡って行く。


これを頭において対訳を見てみると、
かなりイメージが違ってくる。有難味もある。

歌詞の内容も、その時節に合わせて書ているからだ。


さて、キリスト教徒でなかっても、
今の時期にクリスマス・オラトリオを聞くと奇異な気がする。
信者にとっては宗教曲の季節感は、

結構”気になるもの”らしい。