自己紹介


はじめまして。近藤紀文と申します。
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2016年8月2日火曜日

美食考

フランス革命時の法律家
ブリア=サヴァランと言えば、『ガストロノミー』。


日本流に言えば  ”美味しんぼの元祖” として名高く、
美食が高じて 『美味礼讃』 なるグルメ本まで出しているから、
法律家が本業、などというのがウソ臭く聞こえる。


しかし、焼き菓子の世界でのサヴァラン、チーズの世界でのブリア・サヴァランと、
後世、彼の名を冠した料理又は調理法が
続々と創作されたのだから、その思想的影響は侮れない。


ブリア=サヴァランが法律家と料理家の二足わらじなら、
音楽家と料理家の二足わらじで現在もその影響力を行使し続けているのが、
イタリア人作曲家ジョアキーノ・ロッシーニだ。


彼の作曲した歌劇 『ウィリアム・テル』 の序曲は、
小学校の共通鑑賞曲であり、

その中でも 『スイス軍の行進』 として知られるマーチは、
徒競争のBGMの定番中の定番だ。


この作品に限らず、ロッシーニの作曲した歌劇は、
脚本も音楽も大衆受けする明快さが売りで、

『セビリアの理髪師』 や 『ランスへの旅』 は、
今日の日本でも繰返し原語上演されているくらいだから、
当時の現地での人気がいかほどであったことか!


実際、彼の人気と興行成績は半端でなく、
三十台後半にして巨万の富を築き、
それを原資に後半生は
美食の求道者としての道を突っ走ることになる。  


この道でも彼は偉大な足跡を残している。

レストランでステーキを 「ロッシーニ風で」 と注文すると、
 こってりとソテーされた厚切りのフォアグラが乗った、
分厚い牛ステーキが運ばれてくる。


調理法にまで試行錯誤を凝らした、
彼の食に対する執念が垣間見える。  


しかも、彼の美(?)癖は食べ物だけでなく、
生身の女性にまで及んでいる。


教科書に出る彼の写真は、
壮年期を過ぎても美食三昧に明け暮れ、

頬が垂れ落ちそうになるほどに肥満した姿だが、
品性の良さは見て取れる。


彼の若いころの肖像画も残っていて、
なるほど、これなら、

”寄せ来る美女を○○放題であった” 
 という伝説も納得できる。


極貧の中で、
非業の病死を遂げたモーツァルトやシューベルト。

死ぬまで強い結婚願望を抱き、
作品に転嫁し続けたベートーベン。

同じ作曲家ながら、
ロッシーニの恵まれ方は、異常とすら思える。  


さてここで、日本人美食家に警鐘を鳴らしておきたい。

洋菓子のミルフィーユを知らない方はいないと思うが、
特に男性諸氏、

フランス語圏で
「 『ミルフィーユ』が欲しい 、食べたい 」 と言うと、
大変なことになることを心得ておかれたい。


ミルフィーユの仏語本来の発音はミル・フイユで、
ミルは千、フイユは木の葉、すなわち千枚の木の葉の意味である。

パイ皮を折り重ねた形状は、まさに千枚の葉だが、
問題はこれを「フィーユ」と発音すると、
うら若き女性の意味になる。

即ち、ミルフィーユを食したい、とは、
「千人の女性を食したい」の意に他ならない。


誤ってフランスの女性に言ったら、
平手打ちが飛んで来る前に退散すべし!

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