自己紹介


はじめまして。近藤紀文と申します。
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このブログでは演奏会(ライブやコンサート)参加の履歴や
日常生活で思ったことについて、様々な視点で書いていきます。

どうぞよろしくお願いいたします。


2012年3月11日日曜日

ここまでやれるか

これは、私が懇意にさせていただいている方への記事を
編集したものです。

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2012年03月10日(土)  開演:14:00

びわ湖ホール プロデュースオペラ
ワーグナー作曲 歌劇『タンホイザー』(全3幕)
ドイツ語上演・日本語字幕付

指揮:沼尻竜典
演出:ミヒャエル・ハンペ

出演:      (10日)     (11日)
ヘルマン    妻屋秀和   大澤 建
エリーザベト  安藤赴美子  佐々木典子   
タンホイザー  福井 敬    水口 聡   
ヴォルフラム  黒田 博    大島幾雄   
ヴァルター    松浦 健    岡田尚之
ハインリヒ    二塚直紀   大野光彦
ビテロルフ    萩原 潤    加賀清孝
ラインマル    山下浩司   鹿野由之
ヴェーヌス    小山由美   並河寿美 
牧童       森 季子    福永修子
4人の小姓(全日出演) 岩川亮子、栗原未和、田中千佳子、本田華奈子

合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団
管弦楽:京都市交響楽団
協力:サン・ディエゴ歌劇場

料金S席 15,000円



わたしは後ろ髪を引かれる思いで上記びわ湖ホールに赴いたのだが、
ここで日本人としての芸術観を変えるハプニングが起きた。

題して、あなたならどうする?

大津駅からびわ湖ホールに向かう臨時ピストンバスの中で、
アレクサンダー・オルブリッヒ駐神戸ドイツ総領事に会った。

この方、香川のドイツ関係筋の招きで何度か高松に来たこともあり、
お声掛けすると懐かしがってくれた。

(というより、バスの中には他に外人もいたが、
ドイツ総領事と知ってお声掛けをしてくれる人はそうはいないだろうから、
あちらさんもプライドをくすぐられたのかも)

で、話は当然のごとくワーグナーで盛り上がり、
領事から突然の質問があった。

領事「ところで、今日のはドレスデン・バージョンですか?
パリ・バージョンですか?それともウィーン・バージョン?」

私は『タンホイザー』には、初版でオーソドックスな『ドレスデン版』と、
バレエ優先の発想で改訂された『パリ版』が有ることは知っていたのだが、
ついぞこの日まで『ウィーン版』があることは知らなかった。

因みに、当日会場配布の冊子には、
パリ版のさらに亜流としてウィーン版があることをズバリ書いていた。

(負けた・・・。)




しかし、そこは日本ワグネリアーナーの名誉にかけて、
以下のように返答した。

私「パリ版はイレギュラーで、こちらで上演するときは、
チラシに必ず(パリ版上演)と書きます。
書いていないということは、ドレスデン版でしょう。

それと、日本人は序曲からノンストップで
バッカナールの舞踏の場に入るパリ版は好みません』


(好みません=ディスライクと表現。要するに、序曲の最後で盛り上り、
一旦拍手を入れた後で幕が開くドレスデン版が、
けじめがあって日本人好み。)






私は帰路の車中で考えた。

この領事の質問、次のようなアナロジーが成り立つのではないか。



この記事を読んでいるあなたは
ドイツ駐在の日本人商社マンと考えてください。

今日は日本のカブキの引っ越し公演があり、愛国心に燃えて劇場に。

途中、車中で歌舞伎通のドイツ人に会い、会話が盛り上がる。

あなたは、「ところで、今日の『勧進帳』の弁慶は音羽屋がやるんでしたかね?
成駒屋がやるんでしたかね。」クラスの質問を、
その歌舞伎通のドイツ人にぶつけられるか。

わたしは否である。悲しい程自国の文化を知らない。

もっとも、ワーグナークラスになると、最早ドイツのワーグナーではない。
世界のワーグナーだ。


ドイツ人よりもワーグナーに詳しい外国人は多々いるだろうけれども。


 







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