【カール・ベーム】
70年代後半のカール・ベーム指揮ウィーン・フィルは、
カラヤン指揮ベルリン・フィルとともに来日ごとに日本での覇を競ったものだが、
亡くなる直前の1980年10月来日時にNHKでナマ中継された、
ヴァーグナーの『楽劇ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲』は、
85歳を超えた高齢で椅子に座っての指揮にもかかわらず、
適切なスピードと正確なテンポとを保っていて、
カラヤンやチェリビダッケの高齢になってからの演奏のスピードがトロくなって、
いやが上にも年齢を感じさせられた演奏とおおいに比較された。
実はこのとき、コン・マスクラスの演奏者のオフレコ・インタビューも
音楽雑誌に掲載されたのだが、
「ベームはあの高齢で、なぜ、あれだけ正確なテンポが刻めるのか?」
という問いに、
「バカなことを言うな。あんなボケ爺さん一人ではまともな演奏はできない。
遅れがちになる演奏をオレたちがテンポをリードしてやっているから、
まともな演奏になる」と答えていた。
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